むかし聞いた「まま子渕」という民話
昔むかし、岩崎というところのある家に、腹違いでもとても仲のいい兄弟がいた。
しかし、後妻は自分の息子と前妻の息子が仲良くすることをよしとしなかった。
冬の寒い朝、下の子が雑巾がけをしようとすると、後妻は雑巾を取り上げて上の子の顔にぶつけた。近所の人たちも、むごいことだと噂していたが、腹違いの二人が仲良くすればするほど、後妻は上の子に辛く当たった。
ある日のこと、兄弟はとうとう辛抱できなくなり戸羽川の川岸まで来た。後を追ってきた後妻が下の子だけを連れて帰ろうとするやいなや、二人は抱き合って青渕へと飛び込んだ。
後妻が泣き叫ぶと、近所の人たちが集まってきて、深い渕の底から二人をを引き上げた。既に息の無い二人は、それでもしっかりと抱き合ったまま離れなかったそうな。
という悲しくも切ない民話でした。
所在地:岐阜市岩崎2丁目付近
現在の岐阜バス「戸羽川バス停」から東側に見える露出した岩肌は、そのむかし戸羽川が大きく東側に蛇行していて深い渕になっていたところだそうです。そのあたりがまま子渕とのことです。1913年に開通した長良川軽便鉄道(名鉄高富線の前身)の開業当時の駅名は「継子渕駅」(ままこぶちえき)だったそうです。その後1934年に「戸羽川駅」に改称され、それまで「戸羽川駅」を名乗っていた隣の駅は「下岩崎駅」と改められたそうです。
民話と現実が交錯する不思議な地名ですね。
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